ボカロの調声は何からしたらいい?人間らしくなる基本のテクニックから細かな方法まで解説
「ボカロ曲をつくってみたけど、いかにも機械って感じの声になる」
「ボカロPみたいな歌声にならない」
このようなお悩みはありませんか?
ボカロの歌は魅力的ですが、そのままだとかなり機械っぽさが出てしまうものです。もちろんそれはそれでボカロの良さでもあります。しかし、「調声」をすればボカロの歌声も人間っぽい歌声に変えられるのはご存知でしょうか?
この記事ではボカロの声質や歌い方に関わるパラメータの使い方を解説しています。ボカロの歌声をもっとカスタマイズしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
ボカロの調声は声質づくりから
ボーカロイドの細かな調声を始める前に、最初に行いたいのは声質の作り込みです。そのままの声質でもボカロっぽさがあって良いのですが、せっかくボカロのソフトで調声できるので、自分好みの声質にしてみると愛着もわきますよ。
また、声質づくりをすることで「初心者っぽさ」から抜け出るかもしれません。いずれにせよ、声質はボーカロイドの個性を表現する重要な要素なので、聴き手に与える印象も変えられます。自分好みの声質や歌のテーマに合わせた声質に変えてみましょう。
パラメータを操作しよう
ボカロのソフトには、声質・歌い回しに影響するパラメータが多数あります。中でも声質に変化を与えやすいパラメータは以下の通りです。
- BRI(ブライトネス):発音の明るさを調整する
- BRE(ブレシネス):発音に混ぜる息の量を調整する
- GEN(ジェンダーファクター):男性的・女性的な発音に近づける
- CLE(クリアネス):発音の透明さを調整する
- OPE(オープニング):発音の明瞭さを調整する
上記のパラメータを変えると、かなり雰囲気が変わります。ただし、声質を変えるのであれば、パラメータの値は1曲通して固定値にしましょう。
パラメータと声質の目安
声質に影響するパラメータをどのように変えると、どんな声になるのでしょうか?パラメータは基本的に値を大きくするか小さくするかの2択です。それぞれパラメータでどう変化するのか表にまとめました。
値を大きくする | 値を小さくする | |
BRI | 明るい華やかな雰囲気 | 落ち着いて穏やかな雰囲気 |
BRE | かすれた感じの声 | 明瞭な声 |
GEN | 男性的な声 | 女性的 |
CLE | 透明感のある発音 | 重厚感のある発音 |
OPE | 明瞭な発音 | 不明瞭な発音 |
例えばBREは値を大きくすると息の音(ブレス)が増えるような声になるため、かすれたようなハスキーなような声になります。
また、「可愛い感じにしたい」「大人っぽくしたい」など、声質に求めるイメージもあるかもしれません。そんな時は、以下のようなパラメータの組み合わせにすると少し近づけますよ。
・可愛く幼めな女の子の声質なら、BRIを大きく・BREは小さく・GENは小さく
・大人っぽい女性の声質なら、BRIは小さく・BREは大きく・GENは小さく
CLEやOPEはさらに好みや雰囲気に合わせて変えると良いでしょう。
人間らしさが出る基本のボカロの調声テクニック
ボカロの歌声をより自然で人間らしい響きにするためには、各ノートにおける基本的なテクニックを理解して実践すると良いでしょう。ここからは、代表的なテクニックを4つ紹介します。 使いこなせば「うまい」と感じてもらえるかもしれませんよ。
ベロシティ(VEL)
ベロシティ(VEL)は、子音の発音のタイミング・強弱を調整するパラメータです。
ベロシティを上げ下げすることで子音を短くしたり長くしたりとメリハリがつき、滑舌やリズムにも影響します。
ボカロの歌声はデフォルトのままだとかなり単調です。しかし、フレーズに合わせてノートにベロシティの変化をつければ、自然な抑揚を生み出せるでしょう。
ダイナミクス(DYN)
ダイナミクス(DYN)は、ベロシティとは異なり「音量の変化」を表すパラメータです。1曲の間、終始同じ音量では非常に平坦に聞こえてしまいます。そこで、フレーズや構成をみて部分的に音量を上げて調節すると良いでしょう。
また、ボカロ特有の問題ですが、発音によって音が小さく聞こえる箇所があります。そんな時も、ダイナミクスで調整すると聞きやすくなりますよ。
ピッチ
ピッチは、音の高低を表すパラメータです。人間の声は常にわずかに揺らいでおり、この揺らぎが自然な響きを生み出す要因の1つとなっています。
ボカロの場合はピッチを調整すれば、しゃくり上げを表現できるため、抑揚のある歌い方になります。PITのパラメータで曲線を書いて試してみましょう。
ビブラート
ビブラートは、音の揺れを表現するテクニックです。特にロングトーンで使うと歌に深みや情感が出やすくなります。
ビブラートと一口にいっても、ボカロのビブラートは種類もいくつかあるため、曲にあったものや自分好みのビブラートを探してみましょう。「ノートの設定」からビブラートの長さや種類を変えられますよ。
慣れたら取り入れたい細やかなボカロの調声テクニック
ボーカロイドの調声に慣れてきたら、より細かなテクニックを取り入れて、表現力をさらに高めてみましょう。以下の方法を実践すれば、歌声にリアルなニュアンスを加えられますよ。
歌詞の発音を変える
ボカロはデフォルトの設定では、すべての歌詞を正確に発音します。しかし、人間が実際に歌ってみると歌詞によって発音を変えることはしばしばあるものです。
例えば、本来「を」は「お」と同じ発音のはずですが、歌の中では「を」を「うぉ」と発音することもあるでしょう。ボカロに置き換えると「o」の箇所を「wo」にすれば同様の発音に変えられます。
このように歌詞によって、ボカロの発音を意図的に変化させることで、より自然でリアルな歌声に仕上げられます。
アクセントをつける
歌声の表現の1つとして、フレーズに強弱や抑揚といったアクセントをつけるのも良いでしょう。
具体的にはノートの裏をわずかに後ろにずらすとハネるような歌声になり躍動感を表現できます。
アクセントは人間なら自然に表現しているものなので、ボカロの歌声にも同様につけると、メリハリのある表現になりますよ。
ベンドでしゃくりを表現する
ベンド(ピッチベンド:PIT)は、ピッチに変化をもたせるパラメータです。
やや難しいのですが、ベンドを深くするとピッチが少し下がるため、これを利用してしゃくりを表現できます。前述した方法よりもより滑らかなしゃくりを表現できるので、慣れてきたら試してみてください。
ポルタメントでリアルな感じを出す
ポルタメント(パルタメントタイミング:POR)は、ノートからノートにうつる時の速さを調節するパラメータです。次のフレーズにうつるタイミングを速くしたり遅くしたりとより人間らしさを表現できます。
例えば、プロの歌手がライブで歌う時に、同じフレーズでも音源よりタメをいれることがあります。ポルタメントでタイミングを遅くすると、これと似た表現になるでしょう。
このようにポルタメントをプラスにすれば次のフレーズへの推移が遅く、マイナスにすれば速くなるので、変化をつけたい時はぜひ試してみてください。
ボカロの調声に関するよくある疑問
ここからはボカロの調声に関するよくある疑問について解説します。
ボカロの調声はスマホでもできる?
スマホでもボカロ曲を作れるようになり、調声も可能です。
スマホやタブレット用のアプリでもこの記事で紹介したパラメータを設定できるため、歌声の作り方から歌い回しまで変えられますよ。
ボカロの調声が難しいけどどうしたらいい?
ボカロの調声は、多くのパラメータを扱うため、初心者にとっては難しいと感じるかもしれません。
いきなり多くのパラメータを変えるとキリがなく混乱してしまうため、細かな調声の前にまずは声色を変えるところから始めてみましょう。声質が変わるだけでも雰囲気はかなり変わります。それから各ノートをいじってみると良いでしょう。
まとめ|ボカロの調声は声質づくりから
ボカロの調声をしようとソフトを見ても、パラメータが多くて、何から手をつけたら良いのか困るかもしれません。そんな時は声質づくりから始めてみると良いでしょう。
BRI・BRE・GENなどのパラメータ設定を1曲固定で変えれば、大人っぽい声にも幼い感じの声にも変えられます。
1曲通した声を変えてから、曲の各フレーズでしゃくり・強弱・ビブラートなどを加えていくと、グッとクオリティが上がりますよ。
いきなりすべてのパラメータを使いこなそうとするのでなく、基本のテクニックから試してみてはいかがでしょうか?
SparCはクリエイターとして収益を得たい方々を応援しています。このページがお役に立てたら、ぜひSNSでも拡散をお願いします!