Web3.0をわかりやすく解説!〜プロダクト例や活用例・今後の課題についても〜
最近、耳にする機会も増えているWeb3.0。政府も成長戦略の提言に盛り込むなど、今後の生活やビジネスに影響があると考えられます。しかし、Web3.0とは一体どういうものなのか、分からない人も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事ではWeb3.0の概要から活用事例、課題と今後の展望について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
Web3.0までの概要
次世代インターネットとも呼ばれるWeb3.0。定義も明確でないため難しそうな印象を受けますが、それ以前のWeb1.0やWeb2.0と比較すると、スムーズに理解できるでしょう。そこで、時系列順にWeb1.0から解説します。
Web1.0
Web1.0はインターネット黎明期の1990年〜2005年頃を指します。Webサイトによる情報発信が始まった頃で、当時のサイトはHTMLやHTTPなどで構成されるシンプルな作りのものがほとんどでした。
この頃の最大の特徴は、ウェブ上の情報は基本的に閲覧のみだったことにあるでしょう。チャットや一部掲示板等の書き込みは可能でしたが、サイトを見て発信された情報を得る事が主な使用用途でした。
Web2.0
現代のインターネット環境であるWeb2.0。最大の特徴は、双方向のやりとりが当たり前となった事にあるでしょう。Facebook、Twitter、InstagramなどのSNSの普及により自分のWebサイトを持たなくても誰もが発信できるようになりました。
その一方で、GAFAのような特定の企業に権力が集まる中央集権状態になったことが問題視されています。情報が1箇所に集中するため、サイバー攻撃によるセキュリティリスクが懸念されるほか、個人情報等のデータを企業に提供しているゆえに情報漏洩のリスクも尽きません。
Web3.0
Web2.0の中央集権状態を解消するのがWeb3.0です。Web3.0では、ブロックチェーン技術により、Web2.0のセキュリティ面やプライバシーの課題を解消できるといわれています。
キーワードは「分散」であり、特定の企業や国などが情報を管理・独占するのではなく、ブロックチェーン上に記録された情報を個人で管理する点がWeb2.0との違いです。これにより、情報の改ざんが困難で不正防止になるとされています。
情報管理を分散して個人で行う影響としては、仲介者の役割を持っていた企業やサービスが不要となることが挙げられます。
ブロックチェーンについては、こちらの記事で解説しています。
Web3.0のプロダクト例
Web3.0領域では、ブロックチェーン技術によって様々なものが分散化されているのが特徴です。そこで、現在までに導入されているプロダクト例を紹介します。
DeFi(ディーファイ)
DeFiとは、「Decentralized Finance」の略で「分散型金融」を指します。これまでは、銀行等の金融機関を介して金融サービスを受けてきましたが、この銀行のような中央管理者のいない仕組みがDeFiです。
従来の金融機関とは異なり、取引記録は全てブロックチェーン状に記録されるため、取引記録の正誤を確認・承認するのはユーザー自身となります。
メリットは低コストと処理の早さにあるでしょう。DeFiでは、従来の金融機関のような仲介者が不要で、全てのサービスはプログラムによって実行されます。そのため、人件費等のコストが削減でき、これまでのように手数料や利子となって跳ね返ることがありません。
また、入出金にかかる時間が短く、海外とのやり取りでもこれまでのようにタイムラグがないため、処理が飛躍的に早くなります。
イメージとしては、ネット上で自由にやり取りできる銀行のようなものです。既に利用されているものとしては、MakerやCompoundなどが挙げられます。
DAO
DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略で「分散型自立組織」を指します。従来の会社組織とは全く異なる新たな組織形態です。
DAOでは、これまでの企業のように中央集権的な権力をもつリーダーが存在せず、参加者全員が平等な立場となります。意思決定は参加者による投票で行われており、ガバナンストークンという暗号資産を利用して投票が可能となります。この投票もブロックチェーン上で記録されるため、改ざんは困難であり、組織の透明性が担保されます。
DAOは資金調達が効率的に行えるメリットがある一方、意思決定に時間を要するデメリットがあります。
既にDAOで運営されている組織はいくつかありますが、特に有名なのはビットコインでしょう。ビットコインには中央集権的な管理者はおらず、開発当初に作成されたプログラムコードに従い運営されています。
NFT
NFTとは「Non-Fungible Token」の略で「非代替性トークン」を意味します。
ブロックチェーン技術を利用しており、従来の複製できるデジタル作品と異なる「非代替性」が特徴で、一言で表せば「鑑定書付のデジタル作品」といえるでしょう。また、NFTを購入するためには、マーケットプレイスというプラットフォームへの参加が必要です。
NFTといえば、アート作品などエンタメ領域で耳にすることが多いかもしれませんが、そのほかの分野でも取り入れられています。ホテルの利用権やデジタル住民票などで既に利用されており、今後もビジネス分野での活用も拡大していくでしょう。
ブロックチェーンとNFTについて解説した記事はこちらから。
Web3.0が活用されている業界
上記のようなプロダクト例はあるものの、まだ身近に感じられないかもしれません。そこで、既にある事例を含めて、どのような業界でWeb3.0が活用されているのか、以下で紹介します。
食品業界
一般的にデジタル化の遅れが指摘される食品業界で、ブロックチェーン技術が活用され始めています。アメリカの「ウォルマート」では、食の安全性や流通経路の透明性を担保するため、ブロックチェーン技術による生産から消費までの取引データの追跡を始めました。また、商品の追跡ができることでフードロスの削減にも繋がっており、今後ますます食品業界での活用が期待されています。
また、別の活用法では、飲食店がスポンサーNFTを発行するという例もあります。戸越銀座のスイーツ店「芋stand BYダンポテト」や徳島県のカフェ「こはくの天使」では実際に導入され、NFTの保持者は投資のみならず、メニュー開発にも関わることも可能です。メーカーのファン化を促進する意味でも一役買っているといえるでしょう。
自動車業界
イタリアの「アルファロメオ」では、新型SUVに独自のNFTを付加することを発表しました。メンテナンス記録等を管理することで、オーナーや販売ディーラーからの信頼、車の価値の保護に寄与すると考えられています。
医療業界
医療データの保管にもブロックチェーン技術が活用され始めており、「国境なき医師団」はブロックチェーン企業であるトランスクリプトと連携し、予防接種記録を保管しています。
また、電子カルテが増えている現代の医療において、診療記録もブロックチェーンで暗号化処理して保管する日も来るかもしれません。
ゲーム業界
Web3.0という言葉を聞くと、ゲームを連想する人もいるかもしれません。
実際に、海外のみならず日本でもゲーム市場は拡大しており、日本語対応していたり、日本人チームが立ち上げたNFTゲームに「My Crypto Heroes」「crypto spells」「jobtribes」などがあります。、暗号資産(仮想通貨)なしで簡単に始められるものも相まって、多くのプレイヤーが参加しており、Web3.0特有の「難しそう」というイメージを払拭しました。
他にも、NFTゲーム「The Sandbox」などをはじめとして、一般ユーザーの参加者は年々増えています。
従来のゲームとの違いは、ゲームを楽しむだけでなく、NFTや暗号資産など現実での価値を持った資産と連携出来る点にあります。ゲーム内のアイテムをNFTとして発行できるなど、これまでにはなかった楽しみ方ができるのも人気の要因といえるでしょう。
音楽業界
音楽業界では、これまで音楽配信を行ってきたレコチョクが、Web3.0の活用に乗り出しています。ERC-20トークンを用いた音楽体験サービスや、アーティストのNFTアイテムの販売など、Web3.0領域に注力しています。
音楽市場もCDからストリーミングへと変化しており、今後の音楽業界の新たなビジネスモデルを作り出すかもしれません。
Web3.0の課題
Web3.0はメリットも多く、今後さらなる広がりが予想されるものの、課題もあります。これからWeb3.0を利用するうえで、誰しも起こりうることかもしれません。ぜひ覚えておきましょう。
法整備
一部の業界では活用が進んでいるWeb3.0ではあるものの、法整備が進んでいないことが課題です。トラブルや犯罪に関することだけでなく、税金の面からもビジネスに大きく影響しています。今後の制限が厳しくなる可能性もあるため、政府の動向も見逃せません。
トラブル時は自己責任
非中央集権的で管理者がいないゆえの課題もあります。個人情報を自分で管理するため、管理上のトラブルが自己責任になってしまうことです。例えば、暗号資産やNFTなど資産価値があるものも多く、アクセスするためのシードフレーズ等を巧みに聞き出したり、偽のリンクをクリックさせて盗まれる、といったトラブルも散見されます。そのため、リテラシーを高めて自己防衛するしかありません。
Web3.0の今後の展望
Web2.0で、私たちの生活から切り離せないものになったインターネット。Web2.0の方が効率がいいことはそのままで、Web2.0における問題点をWeb3.0で対応して共存していくのではないかとも予想されています。
Web3.0の発展の可能性が大きい一方で、前述したような課題も懸念されています。それも踏まえて2022年現在、政府がWeb3.0を成長戦略に盛り込むと発表しました。特にNFTビジネスの推進、権利保護、利用者保護などの提言を行なっています。
これにより、法整備が進み、税制の見直し等が行われれば、さらにWeb3.0領域に進出する企業や利用するユーザーは加速度的に増えるのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、Web3.0の概要から活用事例、課題などについて解説しました。
現代のインターネットであるWeb2.0と異なり、Web3.0では「分散した情報管理」が大きな鍵を握ります。そのメリットは大きく、既にいくつものトレンド技術を生み出し、様々な業界で広がりを見せています。一方で現状では課題もあり、今後も注視していく必要があるでしょう。
これを機に、ぜひ身近にあるWeb3.0に触れてみてはいかがでしょうか。
SparCはクリエイターとして収益を得たい方々を応援しています。このページがお役に立てたら、ぜひSNSでも拡散をお願いします!