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メタバースとは

メタバースをわかりやすく解説!具体例やメリット・デメリットも

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最近になって「メタバース」という言葉をよく聞くようになったけど、何のことかイマイチよく分からない。

本記事ではそのような方に向けて、メタバースについてわかりやすく解説しました。メタバースの定義から、身近な具体例、メリット・デメリット、今後の展望に至るまで、本記事を読めばメタバースの概要を網羅的に理解できます。

技術革新のスピードや変化の流れがめまぐるしい現代において、メタバースは今後大きな成長が期待される市場・分野です。本記事を通して、メタバースについての理解を深めましょう。

メタバースとは

メタバースとは、一言で言うと「インターネット上に構築された仮想空間」です。メタバースの由来は、「超越」を意味するメタと、「世界」を意味するユニバースの組み合わせ(造語)によって作られています。なお、「メタバース」という言葉自体は、1992年に発表されたSF小説「スノウ・クラッシュ」で誕生したといわれています。

メタバースを楽しむためには、まず、自身のアバター(インターネット上の分身)を作成して仮想空間に参加します。メタバース空間上でユーザー間のコミュニケーションを取りながら、ゲームなどの娯楽や各種経済活動を行うのが一般的です。

リアルな現実世界のほかに、メタバース空間をもう一つの生活空間とすることが、メタバースの根幹的な思想といえるでしょう。

なぜメタバースが注目されているのか

メタバースという概念が誕生してから30年近くが経過した2021年・2022年になって、メタバースが突如として注目を集めるようになりました。

メタバースが注目されるようになった要因には、おもに以下の項目が挙げられます。

  • コロナウイルス蔓延による「働き方の見直し」
  • 高速大容量通信の普及によるネットワーク環境の充実
  • VR機器や高性能PCの開発
  • ブロックチェーンやNFTといったメタバース関連技術の進歩

ビッグテック企業GAFAMの一角をなすFacebook社の「Meta」への社名変更は、メタバースを印象づける象徴的な出来事の一つではないでしょうか。

リアルな現実世界以外でも、オンラインで没入感のある、よりリアルに近いコミュニケーションを取れるメタバースが、非常に注目を集めています。

メタバースとVRはどこが違うの?

メタバースと聞くと、似た概念として「VR」を想像する人も多いのではないでしょうか。VRは「Virtual Reality(仮想現実)」の略称で、まるで現実にいるかのように自由に動いたり、活動したりできる「技術の総称」をいいます。視覚だけでなく、聴覚にも訴えかける没入感を追求した「体験」に重きを置いている点が大きな特徴です。

一方、メタバースはいわゆる仮想「空間」そのもの。体験のリアリティ性よりも、オンラインでのコミュニケーションに重きを置いているため、没入感を必ずしも必要としません。

そのため、メタバースとVRの双方が共存するサービスは当然あります。両者の違いに関しては、VRは現実のような体験をするための手段、メタバースは人々がオンラインで交流する仮想空間である、という点です。

メタバースの具体例

画像引用:Mesh for Microsoft Teams が目指す、「メタバース空間でのより楽しく、よりパーソナルなコラボレーション」|Microsoft

インターネット上に構築された仮想空間であるメタバースについて、具体的な活用事例を5つ紹介します。現在、メタバースの活用パターンとして多いのは下記の5パターンです。

  • バーチャルショッピング
  • バーチャルライブ
  • ゲーム
  • オンライン会議
  • 産業用メタバース

本記事では、身近にある特に分かりやすい例をピックアップしました。

メタバースの具体例①:バーチャル渋谷

「バーチャル渋谷」は、渋谷区公認の配信プラットフォームです。現実とデジタルの2つの渋谷をつなげ、新たな文化を発信していく取り組みを、auと渋谷区が中心となって進めています。2020年5月にプロジェクトが立ち上がり、メタバース上でハロウィンイベントを2度開催し、延べ参加者は100万人に迫る勢いでした。

イベントには、「Cluster」と呼ばれるスマホ・PCアプリをダウンロードするだけで簡単に参加でき、アプリは無料で利用できます。Clusterアプリをダウンロードすると、メタバースプラットフォームの「cluster」で自由に遊べます。

clusterは「ワールド」と呼ばれる独自の仮想世界を作ることができ、今回紹介した「バーチャル渋谷」も、clusterのワールドを使って構築されています。

VRヘッドセットなしでも没入感のあるライブ空間を楽しめるため、メタバースを体験する最初の一歩としても非常におすすめです。

メタバースの具体例②:仮想伊勢丹新宿店(バーチャルショップ)


画像引用:スマートフォン向け仮想都市空間サービス「REV WORLDS」仮想伊勢丹新宿店|三越伊勢丹

メタバースのビジネス活用事例の一つとして、バーチャルショップの構築・運営が挙げられます。「仮想伊勢丹新宿店」は、メタバースプラットフォーム「REV WORLDS(レヴワールズ)」で運営されるバーチャルショップで、仮想店舗内は実店舗で販売されている商品が陳列されています。

メタバースを使ってバーチャルショップを構築することで、今までのECサイトでは提供できなかった、自宅にいながらリアル店舗にいるかのような体験の提供が実現可能になりました。

バーチャルショップを用いた商品のPR・販売手法は、あらゆる業種・業界で応用できます。仮想空間でのイベント開催やショールーム展開を支援するサービスを提供する会社も複数登場しているため、バーチャルショップでの購入体験が急速に普及する可能性があります。

メタバースの具体例③:フォートナイト

広義の意味では、メタバースという概念が注目を浴びる前から運営されていたゲームもメタバースと呼ばれています。

フォートナイトはEpic Game社が提供するバトルロワイヤル系シューティングゲームですが、建築要素とそのための素材収集に大きな特徴があります。

純粋なシューティング能力だけでなく、高台や要塞を建築して防御を高めるなどの別要素が加わり、ゲーム性の高さが大ヒット。さらに、映像の美しさと迫力、没入感の相乗効果もあり、メタバースゲームとして人気を集めています。

そのほかにも、ゲーム内ライブや映画鑑賞等のイベントも開催され、米津玄師がフォートナイト上でライブを披露したのは記憶に新しいのではないでしょうか。

本記事では紹介していませんが、ゲーム内のアイテムをNFTとして発行するゲームもあります。NFTを一言でいうと「電子データに一点物の価値を認める仕組み」です。画像のコピーは簡単に行えても、発行元が「本物」と認めた画像はこの世に一点しかないことを、「ブロックチェーン」技術を用いて証明します。

ゲームとNFTは非常に相性が良く、アイテムが一点ものであることを証明する仕組みを導入して希少性を担保し、ゲームをより面白く設計できます。

なお、ブロックチェーン技術を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

メタバースの具体例④:あつまれどうぶつの森

画像引用;あつまれどうぶつの森|任天堂

任天堂が提供する「あつまれどうぶつの森」は、主人公のアバターが、他のアバターや動物と交流しながら、無人島を自由に開拓して楽しむゲームです。

ゲームにストーリー設定はなく、自分が気の向くままにゲームを楽しむ点に、従来のゲームとは違った没入感があります。仮想空間上で家具などをDIYで制作したり、野菜を育てたりするなど、リアルな日常生活に近い行動をゲーム内でプレイする点は広義のメタバースといえます

ゲーム内では物・アイテムの売買もされており、一種の経済圏が構築されている点も特徴的です。「あつまれどうぶつの森」はゲーム内で日本円を扱いますが、海外のゲームでは独自通貨を発行し、法定通貨同様に、発行した通貨に価値を持たせて物の売買などを行うこともできます。

メタバースの具体例⑤:Mesh for Microsoft Teams

Mesh for Microsoft Teams」は、マイクロソフトが提供するバーチャルミーティングサービスです。サービスの提供開始は2022年中で、記事執筆時点ではプレビュー版が利用できます。

同サービスは、リモートワークやオンライン会議などが一般的になった現代の働き方に対応すべく、アバターを利用した没入感のあるミーティングサービスを提供できるよう開発が進められています。

Microsoft Teamsは、コミュニケーションツールとして月間2億5,000万人以上のアクティブユーザーが存在し、これらのユーザーが同サービスを活用することで、メタバースが急速に普及する可能性を秘めています。

バーチャルミーティングサービスは、Metaから「Horizon Workrooms」というサービスも提供されており、GAFAMによるメタバース領域の覇権争いは、今後さらに熾烈さを増すでしょう。

メタバースのメリット

メタバースには上記の活用例などがありますが、メタバースには果たしてどのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、メタバースのメリットを以下の3点に絞って紹介します。

  1. オンラインで現実世界同等のコミュニケーションが取れるようになる
  2. 新たなビジネスチャンスが生まれる
  3. 今までにない感動体験を得られる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メタバースのメリット①:オンラインで現実世界同等のコミュニケーションが取れるようになる

メタバースのメリットの1つ目が、オンラインで現実世界同等のコミュニケーションが取れるようになることです。

コロナウイルスが蔓延したことで、リモートワークが当たり前になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。仕事自体は進められるものの、雑談の機会も減り、人間関係が希薄化し、人間関係を構築するのが難しくなったと感じる人も増えたはずです。

メタバースを活用することで、まるで現実世界と同じようにコミュニケーションが取れるようになり、仮想空間で人間関係の構築ができるようになります。

コミュニケーションを取る選択肢が増えるという意味で、メタバース導入の大きなメリットといえるでしょう。

メタバースのメリット②:新たなビジネスチャンスが生まれる

メタバースのメリットの2つ目が、新たなビジネスチャンスが生まれることです。直近1〜2年で急速に開発が進められるメタバースに関して、Emergen Researchの調査によると、2020年の世界のメタバース市場規模は476.9億ドル(1ドル140円換算で約66兆7,000億円)でした。そして、2028年には8289.5億ドル(1ドル140円換算で約1,160兆円)まで拡大する見込みのようです。

巨大企業に限らず、特にベンチャーなどの新興企業においては、フットワークの軽さを活かしてメタバース関連事業を立ち上げるチャンスが広がっています。

日本経済復活のきっかけとして、日本発の新たなビジネスが生まれることに期待しましょう。

参照:Metaverse Market Size Worth USD 2961.55 Billion in 2032

メタバースのメリット③:今までにない感動体験を得られる

メタバースのメリットの3つ目が、今までにない感動体験を得られることです。会場にいなくても、VRヘッドセットをつけるだけで、リアル以上の没入感のあるライブやイベントに参加できるようになるでしょう。

VRヘッドセットがなくても楽しめるメタバースは複数存在し、世界中の人と、リアルタイムで同じ仮想空間を共有して楽しめる体験は、今までにありませんでした。

今後のさらなる技術革新により、今まで経験したことのない感動的な体験が待っていることでしょう。

メタバースのデメリット

メタバースに限らず、あらゆるサービスや技術に対して、メリットがあれば当然デメリットも存在します。本章では、メタバースのデメリットとして以下の4点をピックアップしました。

  1. 極度に依存する可能性
  2. VRヘッドセットなどの機器が必要な場合も
  3. 一定程度のITリテラシーが必須
  4. 法整備が追いついていない

手軽に楽しめる反面、気をつけなければならない点もいくつかあります。

メタバースのデメリット①:極度に依存する可能性

メタバースのデメリットの1つ目が、極度に依存する可能性があることです。いわゆる娯楽や嗜好品については、「依存」がしばしば問題になります。その問題はメタバースも同様で、エンターテイメント性や没入感の高さゆえに、中毒症状になってしまう危険性も。

現実世界でなにかネガティブなことがあると、その反動でメタバースの仮想空間に没頭して現実世界の疲れを癒すという使われ方も、想像に難くありません。

リアルな世界におけるコミュニケーションが希薄になる可能性を含めて、メタバースへの極度の依存には注意が必要です。

メタバースのデメリット②:VRヘッドセットなどの機器が必要な場合も

メタバースのデメリットの2つ目が、VRヘッドセットなどの機器が必要な場合もあることです。アプリをダウンロードするだけでメタバースを楽しめるものもありますが、VRヘッドセットや高性能なPCが必要なことも多いのが現状です。

メタバース関連機器に限らず、メタバースゲームを深く楽しむために、ゲーム内の土地やアイテム、アバター用のスキン(ファッションアイテム)への課金が必要なケースも。

記事執筆時点において、没入感の高さを求めると、メタバースを楽しむにあたって敷居の高さがあることは否めません。

メタバースのデメリット③:一定程度のITリテラシーが必須

メタバースのデメリットの3つ目が、一定程度のITリテラシーが必須であることです。サービスの多くが海外製で日本語対応していないこともあるため、サービスやゲームの操作が容易でないこともあります。

特にブロックチェーン・NFTを用いたゲームの場合、ゲーム内通貨を扱うには暗号資産用の財布(ウォレット)を管理しなければなりません。ハッキングのリスクや送金ミスにより資産を失うおそれがあるだけでなく、ウォレットのパスワードを聞き出そうとする詐欺DMが届くことも多いため、ITリテラシーは必須です。

メタバースのデメリット④:法整備が追いついていない

メタバースのデメリットの4つ目が、法整備が追いついていないことです。

現行法ではオンライン上のデータの所有権が認められていませんが、実質的にデータやデジタルアセット(アバターやアイテムのNFT等の電子的な資産)に価値がついて取引がされているため、それを保護するような法が必要となるでしょう。

また、メタバース空間での活動の比重が大きくなるにつれ、メタバース空間上のアバターの外見などが個人と強く紐づくことが予想されます。

実在の人物の写真を許可なく撮って使うことは問題になりますが、メタバース上の活動やアバターに対しても現実の肖像権やプライバシー保護と同等の課題が起こりえます。

また、匿名性が高いためセクシャルハラスメント防止や児童保護、セキュリティの観点でも問題が起こる事が予想されますがまだ法整備が追いついていません。

メタバースの開発速度に対して法整備が追いついていない点は注意が必要です。

メタバースの今後の展望と課題

先ほども述べたように、メタバースの市場拡大はほぼ間違いないでしょう。ゲーム分野だけでなく、音楽サービスやライブなどのエンターテイメント全般において、メタバースを活用した新たな感動体験の提供が期待されます。

また、GAFAMに限らず、さまざまな企業がVRヘッドセットなどの開発に乗り出し、メタバース活用はより身近なものになるでしょう。

一方で、課題も多く残っています。特に、法整備はほとんど進んでいない状況です。こうした課題は、SNSが登場した頃も同様でした。双方向にやりとりできる「Web2」時代に突入した当初の課題でしたが、メタバースの発展に伴い、同様の課題に直面しています。

中央集権化したWeb2時代のアンチテーゼとして生まれた、「Web3」時代の突入に伴う法整備を早急に進める必要があるでしょう。また、メタバースと相性の良い暗号資産やNFTも法整備が進んでいないため、包括的な法律の見直しが求められます。

なお、Web3について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

メタバースは現実世界にはない仮想空間として、無限の可能性が広がっています。没入感のあるゲームとして体験できるだけでなく、リモートワークやオンライン会議に没入感を追加し、業務効率を上げる狙いでメタバースを活用する事例もあります。

メタバースの活用事例は多岐に渡り、スポーツ観戦に限らず、建築業などで3D物理モデルを扱う業種などでもメタバースを活用するケースも。

世界中で開発が急ピッチに進められるものの、法整備は進んでおらず、課題も多く残っています。依存の可能性があり、ITリテラシーも求められるため、誰もが気軽にメタバースを体験するのはもう少し時間がかかるかもしれません。しかしそれ以上に、メタバースは、今までになかった感動体験を提供する大きなポテンシャルを持っています。

課題が残るメタバース開発ですが、今後のさらなる発展に期待しましょう。

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