厚塗りのやり方は?どんな人が向いてる?線画の馴染ませ方なども解説
「デジタルイラストを始めてみたけど、絵師さんみたいに立体感のある塗り方ができない」「厚塗りって聞いたことがあるけど、具体的にどんな風に塗っていくんだろう」
このような悩みはありませんか?
憧れのイラストレーターのように、リアルな質感のある絵を描けたら嬉しいですよね。厚塗りができれば理想の画風に近づくかもしれません。
厚塗りとは、デジタルで油彩のように塗る技法を指します。アニメ塗りのようなはっきりとした線画がなく、重厚感のある仕上がりが特徴です。そこでこの記事では、厚塗りのやり方やどんな人が向いているかなどを解説します。アニメ塗り以外にも挑戦してみたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
厚塗りとは
デジタルイラストやデジタル絵画ではさまざまな色の塗り方があります。水彩風で塗ったり、イラストならアニメ塗りをしたりする人もいるでしょう。そんななか、少し雰囲気が異なるのが厚塗りです。
厚塗りは立体感のある塗り方が特徴で、イラストに多いアニメ塗りとは大きく異なります。アニメ塗りは線が明確であるのに対し、厚塗りでは線・色・影などの境界がはっきりと分かれていません。主線を描かず(線画なし)に塗る場合もあるほどです。質感の素敵な厚塗りですが、メリットがあればデメリットもあるため、以下の表にまとめました。
メリット |
デメリット |
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このように、厚塗りは線を明確にせず微細な色の差を出しながら重ねて描き込むため、立体感・重厚感のあるイラストに仕上がります。人によってはアナログの油彩のような絵にもなるでしょう。
厚塗りが向いてる人
デジタルイラストの塗り方はさまざまあり、その1つが厚塗りです。他の塗り方でもそうですが、厚塗りにも向き不向きがあります。ここからは厚塗りがどんな人に向いているのか解説します。
線画を描くのが苦手な人
一般的なデジタルイラストでは線画をきっちり書いてから色を塗っていきます。しかし、線画が綺麗でなければ、洗練されなかったり硬い絵になったりと仕上がりに満足いかないことも多いでしょう。
そんな線画が苦手な人には厚塗りが向いています。厚塗りは、下絵の上に重ねて塗っていく(描いていく)ので、工程の序盤で描いた線画のクオリティは重要でないからです。そもそも厚塗りをする人のなかには、線画もラフ程度にしか描かない方も多い傾向にあります。線画が苦手であれば、思い切って厚塗りに挑戦してみると良いかもしれませんよ。
修正を面倒だと感じる人
デジタルイラストのメリットの1つに修正が楽なことが挙げられます。確かに下書きや線画の段階では、一筆を細かく描くことでやり直しが楽になるのは間違いありません。
しかし、塗った後の修正となると、少し面倒に感じる人もいるようです。塗ってから線画のレイヤーを直して、下塗りレイヤーを直して、となるとデジタルとはいえ意外に手間がかかります。
一方で、厚塗りだと塗ってからの修正も楽です。おかしな箇所があっても、変形機能で整えてから線を引くという方法もあります。後からどんどん重ねて描いていく厚塗りだからこそのメリットといえるでしょう。
厚塗りのやり方
ここからは厚塗りのやり方を手順に沿って解説します。お絵描きソフトにより若干異なる部分もあるかと思いますが、概ね以下の通りです。
- ラフを描く
- 下塗りをする
- 陰影をつける
- 描き込む
一般的なデジタルイラストの工程は「ラフ→線画(きっちり)→配色(下塗り)→塗り」が多いため、手順が大きく違いことがわかると思います。それでは、厚塗りの工程を1つずつみていきましょう。
①ラフを描く
まずは、ラフを描いていきます。厚塗りでは、従来のデジタルイラストのように線画をきっちり描かなくてもOKです。アタリを描いてから、簡単な線画(少し描き込んだ下書き程度)を描きましょう。
この時、全体のバランスや各パーツの位置がおかしくないか確認してください。
②下塗りする
①のラフのレイヤーの下に新しいレイヤーを作り、ラフに合わせてベースとなる色を塗ります。この時、細かく塗らなくてOKです。肌はうすだいだい、髪は茶色、などのように配色程度に塗ると考えておきましょう。
③陰影をつける
②のレイヤーの上に新しいレイヤーを作りましょう。このレイヤーは「乗算レイヤー」の設定にして、影を塗っていきましょう。影の色は好みで構いません。厚塗りなら薄めの色がおすすめです。
必要に応じてクリッピング機能を使うとスムーズに作業できるでしょう。②と③のレイヤーをクリッピングすることで、色のはみ出しを防いで塗ることができます。
④描き込む
これまでの①〜③のレイヤーをすべて統合させます。この時点での絵は、線もざっくり・色塗りもざっくりの状態。この統合したレイヤーにひたすら描き込んでいきます。イメージとしては、ここから細かな線や影をたくさんつけていく、と考えましょう。
描き込む際の色の選択には「スポイト機能」を使うと、近くの色に合わせられます。こうすることで線が下絵に馴染んでいくため、積極的に使っていきましょう。
線画を残すか残さないかは自由です。線画を残す程度は、自分の目指す絵柄に合わせて調整しましょう。
厚塗りに関するよくある疑問
ここからは厚塗りに関するよくある疑問に答えていきます。
初心者でも厚塗りできる?
厚塗りは重厚感のある仕上がりになるため、難しそうと感じる人も多いでしょう。しかし、厚塗りの手法そのものは難しいものではありません。
厚塗りは「ラフに従って細部を整えながら上から塗りつぶすような描き方」です。デジタルイラスト初心者は綺麗な線画が描けずにつまずくこともあるでしょう。むしろそんな初心者でも取り入れやすい技法といえます。
どんなソフトでもできる?
厚塗りは特殊な技法のように感じるかもしれませんが、一般的なお絵描きソフトで対応可能です。
有料の「クリスタ(クリップスタジオ)」や「フォトショ(Photoshop)」で厚塗りできるのはもちろん、無料ソフトの代表格「アイビスペイント」でもできます。
これからデジタルイラストを始める人、始めたばかりの人であれば、無料ソフトから試してみるのも良いかもしれません。
線画なしでも良い?
厚塗りは線画なしでもできます。むしろ、きっちりした線画なしでもできるのが厚塗りのメリットです。
しかしラフ程度は描いておきましょう。アタリ程度やあまりに簡素な下書きでは、下塗り(配色)が難しくなります。そのため、ラフ(線画を描く前の下書き程度)は描いておくと次の工程がスムーズになります。
どこから塗る?
厚塗りでどこから塗るかに明確な決まりや方法はありません。
しかし、イラストレーターの方のメイキングを参照すると、大きなところから塗っていく人が多い印象を受けます。具体的には、顔(肌)や髪から塗っていき、それから目などの細かいパーツを塗っていくようです。
まとめ|厚塗りで立体的な絵を目指そう
デジタルイラストを始めると、塗り方がいくつかあってどうすれば良いか迷うかもしれません。一般的にはアニメ塗りを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、油彩のように重厚な厚塗りも人気となっています。
また厚塗りは、デジタルイラストを始めた人がつまずきやすい線画の面でも、メリットがあります。アニメ塗りをしようと思った時、まずは線画を綺麗に描かなくてはクオリティに大きな差が出るものです。しかし厚塗りであれば線画をしっかり描かなくても塗りながら線を描き込んでいくことで仕上げられます。
アニメ塗りと比べ少し手数が増えてしまうデメリットはあるものの、人によっては厚塗りの方が向いている場合もあるでしょう。デジタルイラストをもっと楽しみたい、クオリティを上げたい人はぜひ厚塗りにもチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
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